2012.11.14
ツアーに出発
朝0730に起床するも、外は真っ暗。真っ暗どころか、雪が降っており、空港のエプロンも一面白くなっていた。でもそんな中飛行機の離発着は滞り無く始まっていた。0820頃には再びカフェテリアへと出向き、朝食を頂く。ラインナップは昨日と同じ。オレンジジュースでビタミンC補給。ホテルと空港は直結しているため、否応無しに空港の様子は分かることになるが、この日はコペンハーゲン行きの飛行機が出ないので、乗り継ぎ需要もないためか、便数はすこぶる少ない。
さて、この日はIcecapツアーが催行されるはずなので、すでに顔なじみになりつつあるエージェントへ行って申し込み。二人で1190DKKとそれなりのお値段はあるが、グリーンランドに来たからには氷床を見ておかないとまずいだろう。
集合時刻の1000になったので防寒をして空港玄関へ。昨日とは座席数が一回り小さいウニモグがやってきて、ガイドと挨拶。なんと、今日の参加者は我々だけで、プライベートツアーだと言う。好きなところで止まってくれるから気軽に声をかけてくれとのこと。運転席と客席は隔離されているので、連絡用にトランシーバーを受け取る。特にこちらから話しかける用事の無いときは、一方的にスピーカーから説明をしてくれる。
空港の東側から奥地へと向かう。乗り心地はあまり良くないがそれはまぁ仕方の無いことだと思う。早速、進行方向右手にゴルフコースが出現する。真っ白で一見よく分からないが、カップのところにぼろぼろの旗が立っていることでゴルフコースだと分かる。しかし、世界中何処にいってもゴルフコースというのはあるものだ。
荒涼とした景色の中を進んでいくと、1回目の停車。米軍の墜落した飛行機の残骸が残っている場所となっている。このツアーでは有名なポイントだ。パイロットは緊急脱出して無事だったというが、何十年建っても残骸はそのままで、自然に飲み込まれるままになっている。辺りには小動物の足跡もあり、野ウサギなんかの足跡だという。周囲には居るはずだが、真っ白で見ることはできないとガイド談。
再び車が進んでいくと、レインディア(トナカイ)が出現。この時期、雄のレインディアは角が落ちる時期。見かけたレインディアはまだ角が落ちていない個体もいたし、片側だけ角が残っているものも居た。動物が出てくると車を止めてくれるので、車内から双眼鏡で観察。
アイスキャップへ向かう
氷結している湖の脇で道はゲートに閉ざされており、ガイドがゲートの鍵を開けた。ゲートの脇には昔のお墓もある。ここから先はどうやら特別なエリアらしい。ウニモグでないと進めないような荒れた道をずんずんすすむ。
途中、氷河が見えるスポットで停車。ここにはテーブルがあり、夏の時期にはバーベキューが楽しめるところでもあるそうだ。冬のこの時期は記念写真を撮って満足する程度。夏のこの場所でのバーベキューはさぞかし気持ちが良いだろうことは想像に難くない。ふと足下を見ると、頭蓋骨が落ちていた。レインディアの骨らしい。自然の厳しさを感じる。
その先しばらくウニモグを進める。途中、坂道が吹きだまりになっており何度か前進しては後退して勢いを付けて進めるような事をしてようやく最終目的地に到着。ここが、ポイント660と呼ばれる、氷床の末端である。簡単な説明を受けた後、しばし散策。驚いたのはここ5年くらいで、7mも氷床が低くなっているということだった。ガイドの以前はあの辺りがてっぺんだったという話を聞いて、温暖化のスケールの大きさを感じる。
氷床の表面は雪に覆われているところも多かったが、風が吹きさらしているため、ところどころツルっとした氷の表面が覗いているところも多くある。氷そのものは綺麗に透き通っているが、何十何百メートルも深いところまで続いているので、雪に覆われている一部を払って氷をみると、不気味に黒く光って見える。雪に覆われていないところは、ふんだんに光を反射して青く見える。辺りは完全フラットではなく、通常の地形と同様にアップダウンがある。場所によっては勾配が急であり、滑って上れないような場所も多い。ここからグリーンランドを横断して、ずっと氷に覆われているという、とてつもないスケールを感じられる場所であった。30分程度の散策時間があったが、あっという間に時間は過ぎて、出発の時刻になってしまった。プライベートツアーで、とてつもない最果て感。これは最高である。
同じウニモグで少し来た道を戻り、再度広いスペースで駐車。クッキーとホットチョコレートで休憩である。車内で飲むかどうか聞かれたが、せっかくなので外で頂く。ガイドの話だと、やはり観光客が来るのは1月~3月がメインで、日本人もたくさん来るとのこと。まぁ、これほどオーロラに興味を持つのは日本人だけだとも言っていたが。これはうすうす想定されていた回答ではある(笑)。毎晩、エージェントを尋ねてNG回答をもらうオーロラ鑑賞ツアーが催行されないのはこのため。言い換えると、オーロラツアーは日本人の団体観光客用のものということか。
帰りも全く同じ道を戻っていくが、だいぶ単調なので所々ウトウト。但し、動物はそれなりに出現し、この旅で最大規模のジャコウ牛の群れも見ることができた。丘の上のほうで集団で固まっている。
ゴルフコースの近くを過ぎて、ようやくカンゲルルススアークの町並みが見えてきた。辺りはうっすらと暗くなってきており、家々の窓には明かりが点り始めていた。無事空港に到着し、ガイドにお礼をして、そのままスーパーへ出向いて買い物。ワインのつまみにハムと水、マチルダドリンク(?)を購入。
本日もオーロラ
一旦部屋にもどって着替えると、夕食を食べにカフェテリアへ。今晩はレストランはお休みの模様。ホットドッグと、スモークサーモンを焼いたものを食べる。味は至って普通。
部屋に戻ってHUGELのリースリングと買ってきたハムで一杯とする。
22時頃、ベランダからオーロラが出ていることを確認し、外へ出てオーロラ観測。この日アラスカ大学のオーロラ予想ホームページでは、Activeという高めの値が出ていた。雲も少なく、星空と共にオーロラを楽しむことができる。
しかし、オーロラは肉眼で見るより明らかにデジカメの方が写りが良い。眼球のセンサーとCMOSセンサーの特性が違うから当然なのだが、巷で見るオーロラ写真をそのまま真に受けることはできないんだと感じた。
オーロラ観測は、ヒートテックに貼るカイロを貼って、スキー用の発熱下着を着た上でダウンにスキーウエアを着て万全の防寒で望むのだが、1時間もしてくるとかなり寒くなってくる。ブーツにはカイロを入れていることと、登山用のウールの靴下をはいているので問題無いのだが、指先がかなりしんどくなってくる。スキーの手袋ではどうしてもカメラを扱えないため、化繊の手袋になってしまうためだ。予想はしていたがやはり指先対策は重要。
この日は日付が変わるくらいまで観測をし、部屋に戻って熱いシャワーを浴びて就寝。
ちなみに、外から部屋にカメラ機材を戻すときは、数々の書籍等で紹介されているとおり、結露対策としてジップロックで密封してから室内に入れた。これで特に問題がでるようなことは無かった。
前の日↓
次の日↓